166.緑内障①:緑内障、どんな病気?
緑内障は視野(見える範囲)が欠けていく病気ですが、一度欠けてしまった視野は元に戻らないことから、怖い病気というイメージがあります。
2022年に「緑内障ガイドライン」が改訂されました。これは緑内障の診断、治療等推奨されるものをまとめて、私たちの手助けをしてくれるものです。
このガイドラインの緑内障の定義は「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造以上を特徴とする疾患である。」とあります。
1)人間ドックで「視神経乳頭陥凹拡大の疑い」と言われました
緑内障は40歳以上で20人に1人、約5.0%の有病率です。40歳を過ぎると会社健診に眼底写真を撮る「眼底検査」が加わることが多いのはこのためです。
「視神経乳頭陥凹の拡大」「視神経繊維束欠損の疑い」などを指摘されたら、これは「緑内障かもしれませんよ」という意味です。
網膜には放射状に視神経繊維が張り巡らされており、この神経線維は視神経乳頭に集まり1本のファイバーとなり、脳の後頭野に伝えられ、私たちは物を見ています。視神経乳頭には生理的にくぼんで白く見える部分があります。これが視神経乳頭陥凹です。視神経乳頭陥凹は誰にでもあるのですが、緑内障で視神経繊維の数が減少し、脱落すると、乳頭の陥凹が耳側に拡大します。これを視神経乳頭陥凹の拡大といい、緑内障を疑わせるサインになります。
上の写真は正常な眼底写真、下の写真は乳頭陥凹拡大のある眼底写真です。
2) 視神経繊維が減っていく病気

眼底写真では扇状に暗く見えます。写真で矢印で示した部分です。これも緑内障を疑わせるサインです。
今回は、人間ドックで指摘される表現を取り上げて示しました。
次回は緑内障の分類をお話する予定です。
(2023.12.6更新)