153.結膜②:結膜炎あれこれ
結膜炎と一言で言っても、原因によりいろいろあり、治療法も分かれます。
主なものは、細菌性、アレルギー性、ウイルス性です。
それぞれを見ていきましょう。
1)細菌性結膜炎
私たちの皮膚、まぶたは正常でも何億という最近がいます。私たちは正常細菌叢と仲良く暮らしていますが、時々この細菌が悪さをすることがあります。
原因菌をして多いのが、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、また子供ではヘモフィリス菌です。
症状は充血、メヤニ、ゴロゴロ感などです。
治療は抗菌点眼剤でニューキノロン系、セフェム系のものが使われます。まれにこれらの薬剤が効かない菌があり、アミノグリコシド系の点眼薬を使うことがあります。
通常1~2週間点眼してもらうと症状は改善します。
2) アレルギー性結膜炎
ある特定の物質に対し過敏な反応を起こすことをアレルギー反応と呼びます。アレルギー性結膜炎は、結膜の粘膜にアレルギーの原因になる物質(アレルゲン)が接触し、局所のアレルギー反応が起こることで引き起こされます。原因になるものは、代表はハウスダスト、スギやヒノキなどの花粉、コンタクトレンズです。
写真はコンタクトレンズによるものです。上眼瞼をひっくり返すと、通常はつるんとして血管が走っているのがわかるのですが、写真のように充血し乳頭と呼ばれる凹凸があります。
症状は痒み、メヤニ、異物感などです。コンタクトレンズを使っている方は、「レンズは上にずれる」というものもあります。
治療は、第一にアレルギーの原因になる物を避けることです。コンタクトレンズの方は、装用を短くする、しばらく装用を控えると改善します。花粉症の方は、飛散のシーズンはサングラスやメガネをかけると良いでしょう。
治療薬は第一に抗アレルギー薬の点眼です。それでも症状が改善しなければ、ステロイド点眼を追加します。また、重症の方には、免疫抑制剤の点眼の有効です。
3) ウイルス性結膜炎
はやり目、流行性角結膜炎と呼ばれるものです。アデノウイルスによる感染性のもので、非常に感染力が強く注意が必要です。アデノウイルス結膜炎に感染した人は、涙にウイルスが排出されます。知らずにドアノブや電車のつり革に触れてウイルスが付着する、それに触れた人がまた感染するという具合です。非常に感染力が強く、家庭内で感染が広がることも多いです。
1週間くらいの潜伏期を経た後、充血、メヤニ、異物感、痛み、まぶたの腫れといった多彩な症状が出ます。結膜炎とあなどるなかれ、痛みが強いと寝込んでします程です。
アデノチェックという検査キットがあり、15分で調べることができます。陽性にでれば間違いありませんが、約2割の人が偽陰性で逃げてしまうので、充血が強い場合は、家族とタオルを別にする、手をよく洗うという予防が大切です。
残念ですが、いまのところ特効薬はありません。複合感染を防ぐための抗生物質の点眼、抗炎症作用のステロイド点眼で1~2週で改善します。
(2022.11.9更新)