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130.網膜⑥:糖尿病網膜症、定期検査を受けましょう

今月は糖尿病の三大合併症の一つ、糖尿病網膜症について話します。
糖尿病の三大合併症は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経症です。いずれも、糖尿病に長く罹患していると体の中の細い血管が障害をうけて起こります。
現在、日本の糖尿病患者数は720万人、そのうちの30-40%の人が、網膜症を合併していると考えられます。
網膜症は初期には自覚症状がありません。症状が無くても定期検査を受けることが大切です。

1)糖尿病網膜症はどんな病気?

網膜を栄養する血管は身体の中でも最も細い血管なので、糖尿病のダメージを受けやすい器官です。血管が閉塞すると、網膜が酸素不足におちいり、それを補うために、新生血管という新しい血管が生えてきますが、この血管が大変もろく、出血を起こしやすいのです。

2) 3つの病期に分類します

その進行段階で3つの病期に分類されます。

① 単純網膜症
最初の段階で、小さな点状出血が現れます。この段階では、「見えない」といった自覚症状はありません。まだ治療は必要無く、経過をみていきます。糖尿病のコントロールが良くなると改善することも多いです。

② 増殖前網膜症
血管が閉塞し、血液が流れない「虚血部分」が生じます。眼底検査では、しみ状の出血や軟性白斑と呼ばれる白い綿状のものが現れます。この状態を放置すると視力低下につながるので、治療が必要です。
治療はレーザー光凝固と呼ばれるもので、網膜の虚血部分をレーザーで熱凝固し、虚血部分の酸素要求量を減らします。この治療をしっかり受けると悪化を食い止めることができます。

③ 増殖網膜症
虚血部分がさらに広がり、そこに酸素を送ろうと新生血管が作られます。実はこの新生血管は大変もろく破れやすいので突然、大出血を起こし視力低下を起こします。
治療は同様に、レーザー治療、さらに硝子体手術となります。増殖網膜症まで進むと、治療をしても視力が回復しない場合もあります。

3)定期検査を受けましょう

初めにお話したように、単純網膜症、増殖前網膜症の時点では、患者さんには、「見えない」という自覚症状はありません。増殖前網膜症の時点で発見し、適切な治療を受ければ良好な視力を保てるひとが多いのです。
糖尿病の治療を受けている方は、自覚症状が無くても、是非、眼底検査を受けてください。

(2020/12/09更新 )


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