129.網膜⑤:黄斑円孔、早めの治療が必要です
今回は、黄斑円孔についてお話します。前回の黄斑前膜では、自覚症状のない人は手術はせずに経過観察もあると書きましたが、黄斑円孔は手術が必要です。
1)黄斑円孔とは?原因は?
加齢とともに網膜に接着した硝子体が収縮します。この時、硝子体がポンと外れてくれればよいのですが、癒着が強いと黄斑部の網膜を引っ張り破れて孔が開きます。これが黄斑円孔です。
2) 症状は?
黄斑前膜と同様に、歪み、物が小さく見える、真ん中が見えない、視力低下です。3)診断は?
やはりOCT検査が有効です。はっきりと円孔があいているのがわかります。
4)治療は?
黄斑円孔は硝子体手術が必要になります。まだ円孔が小さい時は0.5から0.7位の視力がありますが、完全な円孔になり進行すると、視力が0.1以下になります。また、手術時期が早いほど成功率が高く回復も早いことがわかっています。硝子体手術では、黄斑部近くの硝子体を切除し、内境界膜をいう薄い膜をはがします。最後に眼球内にガスを注入し、術後1週間ほどうつ伏せの姿勢を取ってもらいます。円孔周囲の網膜がガスで抑えられている間に、グリア細胞という修復細胞が孔をふさいでくれます。
(2020/11/04更新 )