多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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127.網膜③:網膜静脈閉塞症

血管には動脈と静脈があります。私は、患者さんに「動脈は水道、静脈は下水」とたとえて話します。動脈は、網膜に酸素と栄養をはこんでくれ、下水は老廃物を運ぶ役割です。下水が詰まると水があふれだしますが、そのようにして眼底出血を起こす病気が今回お話しする「網膜静脈閉塞症(もうまくじょうみゃくへいそくしょう)」です。

1)「中心」と「分枝」

網膜静脈閉塞症には「網膜中心静脈閉塞症」と「網膜静脈分枝閉塞症」の二つがあります。大きな中心となる静脈が詰まり一面に出血するものと、静脈の枝が詰まり限局的に出血するものです。

2) 原因は?

血栓や動脈硬化、特に動脈硬化が一番の原因となります。硬くなった動脈が静脈と交差するところで、静脈の流れを止めて血液があふれだします。

3)症状は?

網膜静脈分枝閉塞症 網膜中心静脈閉塞症では、一面に出血するのでほとんどの方が視力低下で受診します。分枝閉塞症の場合は、物を見る中心部の黄斑にかからない場合は、無症状の方が多いです。人間ドックで偶然見つかったという方も珍しくはありません。
出血が黄斑部にかかると視力は大きく下がり、物が歪んで見えます。写真は網膜静脈分枝閉塞症で出血が黄斑部にかかったものです。





4)治療は?

黄斑部にかからなければ、視力低下はないので経過をみることが多いです。ほとんどの方は自然に出血が消退し、治療の必要はありません。
出血が黄斑部に及び視力が低下した方は、治療が必要になります。現在行われているものは、血管内皮増殖因子抑制剤(抗VEGF薬)を硝子体内に注射する治療法です。この治療で、ほとんどの方は出血が引き、黄斑部の状態も良くなり、視力が向上します。ただ、患者さんによっては、注射が何回が必要になること、治療の費用がかなり高額であることが問題点です。
また、注射で効果がない場合はレーザー光凝固術、硝子体手術が必要になる場合もあります。


(2020/9/02更新 )


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