122.水晶体①:水晶体の働き
結膜シリーズが終わり、今月から水晶体のシリーズになります。
1) 水晶体の働き
水晶体は図のように、角膜の後方にある円盤状の透明な器官です。大きさは直径9mm、厚さ4mm位の凸レンズの形をしています。
私たちは、網膜の視細胞が色・形・明暗を認識し、その信号が脳の後頭野に送られて物を見ています。そのため、網膜に至るまでの、角膜、水晶体、硝子体は透明でなければなりません。
水晶体はカメラのレンズの働きをしていて、網膜にピントを合わせてくれます。私たちの目の屈折率の3分の2は角膜が、残り3分の1が水晶体です。
水晶体の働きで素晴らしいのはオートフォーカスレンズだということです。毛様体筋という筋肉の働きで、遠くを見る時は薄く、近くを見る時は厚くなり、ピント合わせをしてくれます。
2) 40歳を過ぎると不便な老眼
この毛様体筋の働きは、残念ながら40歳を過ぎたあたりから衰えて、60歳ではほぼゼロになります。そこで困るのが老眼です。近くを見る時に水晶体が厚くならず、ピントが合いません。これは何とも治しようがなく、不自由になったら近見メガネを使っていただくほかありません。私も老眼鏡が手放せなくなりました。3) 白内障
やはり加齢とともに、透明だった水晶体が徐々に白く濁ってきます。これが白内障です。視力が良く不自由がなければ急いで治療をする必要はありません。緊急性のない病気なので、ゆっくり構えていてください。ただ、不自由を感じてきたら手術をお勧めします。白内障とその手術については、回を改めてお話します。(2020/2/05更新 )