90.働き盛りに多い、中心性網脈絡膜症
網膜で一番、視細胞が集まり、物を見る中心が黄斑部です。まさにこの中心部に水がたまり、歪みをおこすのが中心性網脈絡膜症です。何故か40代、50代の働き盛りに患者さんが多いので、別名、ストレス病とも呼ばれています。
1) どんな症状が起こりますか?
網膜に栄養を与える脈絡膜という組織があります。黄斑部の近くの脈絡膜の血管の異常で、血管から水分が漏れ出して、黄斑部の下に貯まり、黄斑部が盛り上がった状態になります。
一番多い訴えは、物が歪む、物が小さく見える、暗い、といったものです。視力は比較的良い方が多いです。視力1.0の方も珍しくはありません。
2) 診断はどのようにしてつきますか?
まず、患者さんの訴える症状が重要なヒントです。眼底検査で黄斑部に浮腫が認められますが、今、一番参考になるのが、眼底三次元画像解析装置です。赤外線で眼底の断面図を水平方向、垂直方向に写しだします。正常な黄斑部はすり鉢状をしていますが、中心性網脈絡膜症の患者さんは網膜と脈絡膜の間に水が貯まり、黄斑部が盛り上がって見えます。
3) 他の黄斑部の病気との鑑別が大切です
中心性網脈絡膜症は、視力低下は軽く、自然に治癒することが期待できます。ただ、他の黄斑部の病気ときちんと鑑別診断をつけておくことが大切です。黄斑円孔、加齢黄斑変性症も初期は同じ様な自覚症状です。こちらは、進行すると視力低下をきたすので、しっかり鑑別診断をつけます。
4)治療法は?
前述したように、自然治癒が多いので、その旨を患者さんに説明し、経過を見ます。症状が長引く時は、血管造影検査で漏れ出している血管をつきとめ、その血管をレーザーで凝固します。
2017/6/7更新