88.加齢黄斑変性症
1) 加齢黄斑症はどんな病気?
加齢が原因で、網膜の一番大切な黄斑部の下に、新生血管が生じ、視力低下や歪みが出ます。55歳以上の方の有病率(病気を持つ確率)は約1%、男性や喫煙者の方がやや多い傾向があります。また、年齢とともにこの病気になる確率も高くなります。
2) どんな症状で気付きますか?
網膜を栄養する脈絡膜に、新生血管ができます。この新生血管が曲者で、破れて出血をする、血液成分が漏れ出し黄斑が浮腫を起こすといった症状が出ます。出血すれば視力が落ちますし、中心が見えない、線が歪んで見えるといった症状を訴える方も多いです。
3)早く発見するにはどうしたらよいのですか?
何年か前にモナリザが片目を隠して見せる啓発キャンペーンの広告がありました。私たちは意外に両目でおぎないあって物をみているので、初めのうちは片目の病気に気づきにくいことがあります。時々、片目で物を見てください。カレンダーの今日の日付、ちゃんと見えていますか。窓枠を見てください。枠が曲がって見えませんか。この症状があったら要注意です。以前は加齢黄斑変性症は有効な治療法がなかったのですが、近年、血管内皮
増殖因子抑制薬(抗VEGF薬)の眼内への注射の効果が出ています。また、実用化はまだまだですが、話題のiPS細胞も研究されています。次回は、加齢黄斑変性症の治療についてお話しします。
2017/4/5更新