多摩区・ふじえ眼科コラム

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82.弱視の治療

 前回は子供の視力と弱視についてお話しました。今月は弱視の原因と治療をお話します。
弱視の原因は
①角膜や水晶体が濁っていて目の中に光が届かず網膜が刺激を受けずに視力が発達しない
②斜視があり、はずれた目が物を見ていないため視力が発達しない
③強い近視、遠視、乱視があり網膜にピントが合わず視力が発達しない
④片方の目に強い遠視や乱視があり、そちらの目を使わないため一方の目の視力が発達しない
の4つの理由があります。それぞれにみていきましょう。

1) 角膜や水晶体が濁っている場合

これを形態覚遮断弱視と呼びます。角膜の濁りを取るのはとても難しく治療が困難ですが、濁りが軽い場合は、わざと良い方の目(健眼)をふさいで視力の悪い方の目を使わせる健眼遮蔽を行います。
水晶体の濁りは「先天性白内障」です。濁りが軽ければ健眼遮蔽で経過を見ます。ただ、強い濁りがある場合は、赤ちゃんでも白内障の手術を行います。白内障手術で水晶体を取ってしまうとレンズによるピント合わせができません。眼鏡がかけられる子は眼鏡を、赤ちゃんはコンタクトレンズを使い矯正します。
最近は、眼内レンズを入れる施設も増えてきましたが、長期の経過のデータが出るのが待たれるところです。

2) 斜視の場合

強い遠視のために内斜視を起こすケースがあります。この場合は、しっかりと合った眼鏡をかけると目の位置が正面になり、視力も伸びていきます。
1歳未満の乳児内斜視では早期に手術となる場合が多いです。目を動かす筋肉を外眼筋と呼びます。内に引く内直筋を後方にずらし、外に引く外直筋を縫い縮めて眼位が正面に来るようにします。

3) 強い近視、遠視、乱視がある場合

これは合った眼鏡をかけてもらうのがベストです。近視の場合は、遠方のものはぼやけても近くのものは見えるので弱視になる心配はあまりありません。問題は遠視や乱視です。子供は自分から「見えない」と訴えることはありません。今の見え方が常態だからです。多くは幼稚園・保育園の視力検査で見つかります。これをしっかり治さずに放置すると大人になって眼鏡をかけても視力のでない弱視になる可能性がありますので、紙をもらったら眼科を受診して、検査を受けて眼鏡が必要か調べてもらってください。目を発達させるための治療のための眼鏡ですから「お風呂の時と、寝る時以外はしっかりかけてね」と伝えています。

4) 片方の目に強い遠視や乱視がある場合

これを不同視弱視と呼びます。まずは、きちんと合った眼鏡を処方し、しっかりかけて生活してもらいます。さらに、わざと健眼をふさぎ、視力の悪い方の目を積極的に使ってもらう健眼遮蔽を行います。アイパッチといって絆創膏のようなもの、また眼鏡に取り付ける布製のパッチもあります。どうしてもそうしたものが使えない子供には、アトロピンという目の調節を麻痺させる点眼薬を健眼に点眼する方法もあります。
いずれにしても、視力の良い方の目を使えないので、本人にとっては迷惑千万。なかなか大変ですが、お子さんにも親御さんにも、必要なことを十分に説明し、治療も何年かに及びますが忍耐強く取り組みます。

5) 眼鏡選びのQ & A

初めてお子さんの眼鏡を作る時は、まず、眼鏡店選びから迷うことと思います。子供用のフレームの充実したお店、子供眼鏡専門店、子供眼鏡専門コーナーや専門の相談員のいるお店がよいでしょう。子供は元気いっぱいで、フレームが曲がってしまうことが良くあります。フレームや鼻当てのずれを直してもらうため、アフターケアの充実したお店がおすすめです。

2016/10/5更新

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