74.ドライアイ
空気が乾燥しています。長時間、パソコンやスマートフォンの画面を見つめていると、辛くなってきませんか。今月は、涙のシリーズ2回目、ドライアイの話題です。
1) ドライアイが起きる仕組み
水道の蛇口をひねると水が出ます。水は排水溝を通って下水に流れます。水道の蛇口をひねっても水が出ない、あっという間に水が下水に流れてしまう、また目の表面から涙が蒸発してしまう。こうした水道と下水のアンバランスで、目の乾燥感、ドライアイが起こります。
2) ドライアイの原因・あれこれ
まず水道から考えてみましょう。涙はまぶたにある涙腺で作られます。先月お話ししたように、一日にほんの1ml位しか作られません。涙腺の異常で涙が作られない、もしくは涙の量が減る病気があります。多くは膠原病(リウマチなど)と関係した病気です。次に、目の表面から涙が蒸発しやすい環境を考えましょう。空気が乾燥している、目がぱっちりした方で表面積が大きく蒸発しやすい、パソコン作業などで瞬きの回数が減っている等が原因です。私たちは気がつかずに1分間に20回くらい瞬きをしていますが、作業に熱中すると瞬きの回数が半分に減ってしまいます。
第3に、涙の質の問題で、目の表面から涙が流れやすい方がいます。目は少量の涙を有効活用するために、工夫をしています。涙は三層構造になっています。まず表層に油層があり涙の蒸発を防ぎます。その下に涙成分である液相があります。一番下はムチン層といい、涙と角膜の接着剤の働きをします。油層やムチン層が減少するとドライアイの原因になります。
3)予防法・治療法
予防法からいきましょう。部屋の湿度を上げること、これは加湿器を使いましょう。ろ紙を立体的に折ったものを濡らして使う卓上のものがあります。可愛らしくカラフルなデザインのものがたくさんあります。また、パソコンのUSBポートに差し込んで使う加湿器もあります。メガネをかけるのも効果的です。花粉症予防のメガネのように、顔とメガネの間になるべく隙間がないようにしたメガネも売っています。
治療はまず、涙を補うことから始めましょう。目が乾く時は、人工涙液の目薬をつけましょう。保湿成分であるヒアルロン酸入りの目薬は当院でも評判が良いです。
最近まで、ドライアイの治療といえば、人工涙液のみでしたが、近年、とても良い点眼薬が2種類出ました。コラム47で紹介しましたジクアホソルナトリウム点眼薬とレパミピド点眼薬です。ジクアホソルナトリウムはムチンや涙の分泌を促進します。レパミピドもムチンの分泌を促進し、また抗炎症作用があり角膜に傷のある目にはとても有効です。
予防法、目薬、使い分けてこの乾燥した辛い季節を乗り切りましょう。
2016/2/3更新