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69.目に良いサプリありますか

  網膜疾患シリーズが続きましたが、気分転換もかね、今回はサプリメントの話をします。サプリメントは、私たちの日常の食生活では不足しがちなビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養を補給する目的で摂取するものですが、医薬品と異なり、効能や効果がきちんと検証されていないものが多いので、摂取する側も、過大な期待を持たないこと、取り過ぎないことが大切です。必要な栄養は食事でとり、それをおぎなう程度と考えたほうが無難です。また、サプリメントでも健康被害が報告されているので、飲んでかえって具合が悪い時は中止してください。

 目に良いサプリメントと言って皆さんがまず思い浮かべるのはブルーベリーだと思います。ブルーベリーにはアントシアニンという物質が含まれていて、老化を防ぐ抗酸化作用があるといわれています。もう一つ、最近注目を浴びているのが、ルテインです。ルテインは加齢黄斑変性症の予防に効果が期待できます。今回は、この2つのサプリメントを紹介します。

1) アントシアニン

 アントシアニンはブルーベリー、ハスカップ、プルーンといったベリー類、黒ゴマ、小豆などに含まれている色素です。老化の原因の一つの活性酸素の働きを抑え、アンチエイジングに効果があるといわれています。
 目に関しては、老眼の軽減に効果が期待されています。40歳を過ぎるとだんだん近くのものが見辛くなります。特に暗い場所では苦労します。私たちの目は、暗い場所では暗順応という働きで暗さに慣れ物を見ます。この暗順応に働くロドプシンの再合成に効果があるといわれています。最近、DHCから「えんきん」というサプリメントが発売されました。これもアントシアニンを主成分としたものです、実は、私はこの効果を検証するべく今、「えんきん」を飲んでいます。その結果については、後日コラムでお伝えします。

2) ルテイン

 加齢黄斑変性症は何回か、過去のコラムで取り上げています。網膜のなかでも特に視力に関係する黄斑部の病気で、物が歪む、見たい思うところが見えない、視力低下等の症状を起こします。黄斑部が委縮する委縮型と、黄斑部の下の網膜色素上皮に異常な新生血管ができる滲出型があります。50歳を過ぎると病気の頻度が上がり、高齢化とともに患者数は増加しています。
 近年、この加齢黄斑変性症の予防にルテインが注目されているので紹介します。ルテインは黄斑部に集まる色素(黄斑色素)を構成する大切な成分でカロチンというビタミンの一種です。また強い抗酸化作用を持っています。食物ではほうれん草やブロッコリーに多く含まれます。

 まず、ルテインが注目を浴びた経過についてお話します。1990年代にアメリカで加齢黄斑変性症の予防に効果のあるサプリメントの臨床試験がおこなわれました。対象となったのは、加齢黄斑変性症の兆候のある人、片目に加齢黄斑変性症があサプリメント マルチビタミン 亜鉛 ルテインる人です。
 抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、カロチノイド=ルテイン)、亜鉛の摂取をしたところ、抗酸化ビタミンと亜鉛を同時に摂ったグループが一番、加齢黄斑変性症の予防や進行に効果がありました。

 この臨床試験から、加齢黄斑変性症の兆候のある人、すでに片方の目が加齢黄斑変性症にかかっている人に、このサプリメントを進める動きが出てきています。
 私が今飲んでいるサプリメントの写真です。マルチビタミン、亜鉛、ルテインの組み合わせです。またこの3種類がひとつになったサプリメントもあります。

 
最後に注意を2つ。サプリメントはおぎなうものです。大切なのは、まず、バランスのとれた食事をきちんととることです。そして、喫煙と紫外線は加齢黄斑変性症のリスクになります。禁煙と、紫外線カットのメガネ使用を心掛けましょう。

2015/9/3更新

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