51. 水疱性角膜症
角膜が濁る病気はいくつかありますが、今回はその中の一つ「水疱性角膜症」をお話しします。
1) 角膜はなぜ透明か・水疱性角膜症とは?
角膜は、上皮、実質、内皮の3層構造をしており、内皮が角膜を透明にする働きをしています。角膜実質から水を排出するポンプ作用です。角膜内皮は正常では1平方ミリメートル(mm2)に3,000から3,500個あります。再生することはなく、年齢とともに少しずつ減少し、高齢になると2,500位まで減少します。これが500以下に減少すると角膜実質から水を排出する力がなくなり、角膜は白く濁って視力が低下します。これが水疱性角膜症です。
2) 原因
原因は大きく分けて3つあります。角膜内皮が変性・減少する病気になる、眼科手術で内皮がダメージを受ける、外傷で内皮がダメージを受けるです。写真は緑内障と白内障の手術を受けた後、10年後くらいで水疱性角膜症を起こした方のものです。
3) 治療
治療は角膜移植です。角膜は血管がないので他の臓器に比べ拒絶反応が出にくいので、他の臓器に先駆けて移植が行われてきました。ただ、全く拒絶反応が出ないわけではありません。高齢で角膜移植を希望しない方には、治療用ソフトコンタクトレンズで角膜を保護し、保存的に見ていくこともあります。
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2014/4/17 更新