33. ぶどう膜炎の原因
前回は、ぶどう膜炎という病気があるというお話をしました。頻度の低い病気ではありますが、再発を繰り返すこともあり、患者さん、患者さんの家族には心配なものです。今回は九州大学の先生が発表したぶどう膜炎の原因の統計にかんして、とてもよい論文がありました。これは、九州北部に限られた統計ではありますが、全国的にみても、あまり大きな違いはないとおもわれますので、ご紹介します。
1) 男女差、年齢差
男女差はありません。ほぼ同数、病気を起こした年齢は40歳代後半が多かったのですが、19歳以下の「若年」でも、また小児でも、起こしうる病気です。2) 原因がわかるものと、わからないもの
採血検査、レントゲン検査等で原因を探ります。原因がわかったもの、原因不明のもの、それぞれ約50%でした。約半数が調べても原因がわからないという結果です。3) 原因がわかったもののうちわけ
サルコイドーシス10%、原田病8%、ベーチェット病7-8%、ヘルペスウイルス感染によるもの3%です。また、悪性リンパ腫という癌の一種でおこすものもあります。4) 治療と、合併症
ぶどう膜炎自体は、ステロイドの点眼や内服、感染症(ヘルペスウイルスなど)が原因の場合はその感染症の治療でよくなることがほとんどです。不必要に恐れることはありません。ただ、やっかいな合併症が一つあります。続発性緑内障で、5人に1人の割合で眼圧が上昇し、緑内障の治療(眼圧を下げる)が必要になります。
来月からは、代表的なサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病、ヘルペスウイルス感染症を、シリーズでお話していきます
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2012/10/15 更新