31. 緑内障の話し 緑内障の手術
前々回、緑内障の治療薬についてお話しました。今回は「緑内障シリーズ」最終回、緑内障の手術についてです。
緑内障の手術は大きく2つに分類されます。レーザー手術と観血的手術です。
1) レーザー手術
レーザー手術も3種類に分けられます。① レーザー虹彩切開術
もともと房水の排出路(隅角)が狭い閉塞隅角緑内障の患者さんに行います。緑内障の発作を起こすと眼圧が60mmHgを超えることもあり、この状態が続くと視力が失われてしまいます。虹彩の端の部位にレーザーで小さく孔をあけ、房水のバイパスを作り眼圧を下げる手術です。発作を起こした患者さんだけでなく、発作を起こしそうな場合、予防的に行うこともあります。
② レーザー繊維柱帯形成術
レーザーを繊維柱帯に照射し、房水の排出を改善する手術です。
③ レーザー隅角形成術
レーザーの熱で虹彩の周辺部を凝固し収縮させて、隅角を開き房水の排出を改善します。
残念ですが、②、③の手術の効果はあまり長続きせず、結局、これからお話する観血的手術になってしまう患者さんも少なくありません。
2) 観血的手術
読んで字のごとく、メスを入れる手術です。薬物やレーザー治療で十分に眼圧が下がらない場合、または眼圧が下がっても病状が進行し、さらに眼圧を下げる必要がある場合に行われます。① 繊維柱帯切開術・繊維柱帯切除術
繊維柱帯の一部を切開あるいは切除することで、房水の排出を改善する手術です。 かつては、術後の低眼圧(眼圧の下がりすぎ)など合併症がありましたが、近年は手術の安全性が上がってきています。成功すれば、長期にわたり眼圧のコントロールが維持できます。
② チューブシャント手術
これは、最近医療器具として認可されたばかりですが、これからの成績が期待されるものです。小さいディスクに細く小さいチューブがついた専用の器具を縫い付けて、前房(角膜と虹彩の間のスペース)と眼外の間に房水のバイパスを作り、房水の排出を促進します。
今回は、難しい内容になってしまいました。ただ、治療薬も手術も格段に進歩しています。緑内障はまだまだ治療の難しい病気ですが、これからもどんどん治療法が進歩していくことを期待しています。
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2012/8/16 更新
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