29. 緑内障の話し その4:目薬による治療
緑内障の治療には、薬物療法(目薬と飲み薬)、手術療法の2つがあります。
緑内障の最も確実な治療法は眼圧を下げることです。眼圧の高い患者さんは正常範囲内に、正常眼圧緑内障の患者さんはさらに低い眼圧に目標を定め、治療を続けます。
緑内障治療薬はこの20年ほどで、大きく進歩しました。プロスタグランジン薬という非常に眼圧を下げる効果の高い薬が開発されたこと、もう一つは、点眼回数が1日1回ですむ薬が開発されたことです。緑内障患者さんは、一生目薬を続けることになります。今まで、1日に2回、3回とつけなければいけなかったものが、1日1回ですむのは、患者さんにはとても助かることです。
1) 眼圧を下げる方法
眼圧を下げるには2通りの方法があります。房水の産生量を減らすこと、下水(隅角)の流れをよくすることです。
話しがむずかしくなってしまうので、ここでとどめますが、私達はまず、1つの目薬で眼圧が下がってくれる患者さんは1剤で、1剤では効果が不十分な患者さんは作用が異なる薬剤を2剤、3剤と使って眼圧をコントロールするようにします。非常に効き目の良い薬が開発されたお陰で、現在はほとんどの患者さんは、目薬だけで治療していけるようになりました。ただ、そのなかにも、どうしても目薬の治療だけではコントロールできず手術を受けざるをえない患者さんもいます。手術の話しは、次回にゆずります。
2) 緑内障点眼薬
最後に、現在使われている緑内障点眼薬を紹介します。
1)β遮断薬
交感神経にはα受容体、β受容体があります。β受容体を遮断すると、房水の産生量が減り、眼圧が下がります。
2)プロスタグランジン関連薬
房水の眼外への排出量を増やし、眼圧を下げます。十数年前に使えるようになり、1剤で眼圧を下げる効果は最も高いので、今ではファーストチョイス(最初に使う薬)は、ほとんどの眼科でこの薬が使われています。
3)炭酸脱水素酵素阻害薬
房水の産生量が減り、眼圧が下がります。これは実は利尿剤で使われていた内服薬を、目薬で使えるようにしたものです。以前は眼圧を下げるために、この薬を患者さんに飲んでもらうこともあったのですが、胃が痛くなる、手足が痺れる等の副作用がありました。目薬にすることで、こうした副作用なしで使えるようになりました。
他にも、まだ作用の違う薬があり、ここ数年は、2つの薬を1つにして点眼回数が減るようにした合剤も開発されています。一生、緑内障治療薬と付き合う患者さんが使いやすいよう、製薬会社の開発部の人たちも努力を続けています。
眼科とは関係のない話ですが、足の付け根、大腿骨を丈夫にするよいトレーニング法があります。自宅で簡単にできます。まず、あぶないので、手を壁やテーブルに添え、倒れないようにしてください。右足で1分間片足立ちをします。次は左足で1分間片足立ちです(順番は逆でも、もちろん構いません)。このトレーニングで大腿骨の骨頭(付け根の部分)が丈夫になります。なんと、2分のトレーニングで、50分歩いたのと同じ効果が得られるのです。この2分のトレーニングを1日に3回、これで骨がとても丈夫になります。このトレーニングは、整形外科で大真面目に「ダイナミック・フラミンゴ療法」という名前がついています。私も診療の合間に、こっそりとやっています。
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2012/6/15 更新
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