28. 緑内障の話し その3:緑内障のタイプ
1) 原発開放隅角緑内障
房水の排水溝である隅角の繊維柱帯が徐々に目詰まりして、房水の流れが悪くなります。そして徐々に、眼圧が正常値(10-21mmHg)を超え高くなります。急激に悪くなることはありませんが、だんだん視神経が痛み、視野が狭くなるので眼圧を下げる治療が必要です。2) 正常眼圧緑内障
皆さんを混乱させてしまいそうですが、実は眼圧が正常値であっても、視神経が痛み、視野が狭くなる人がいます。房水の排水溝の隅角はきちんと開いているので、開放隅角緑内障に分類されますが、これを「正常眼圧緑内障」と呼びます。実は、日本人には正常眼圧緑内障がとても多いことが近年の研究がわかりました。この場合、眼圧が正常でも、さらに目薬で眼圧を下げる治療が必要になります。
3) 閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり、房水の流れが悪くなり眼圧が上がります。急性緑内障発作は、急激に隅角が閉じて、房水が眼外に流れなくなり、眼圧が40-70mmHgととても高い値になります。この眼圧ですと、患者さんは頭痛、吐き気を訴えます。点滴、手術といった緊急の治療が必要です。
4) 緑内障の人に使ってはいけない薬とは?
薬局で薬を買うと、中に、添付文書が入っています。その中に、「緑内障の人には使えません」と書いてある文章を見つけ、不安になったことはありませんか。また、胃カメラの検査を受けるとき、「緑内障はありませんか」と尋ねられたことはないでしょうか。閉塞隅角の方は、ある種の薬で隅角がさらに狭くなり、急性緑内障発作を起こす危険があるからです。逆に開放隅角緑内障の方は、こうした薬を使っても危険はありません。
私は、開放隅角の患者さんには「他の科ででる薬に制限はありません」と伝えています。
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2012/5/15 更新
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