10. 加齢黄斑変性症の話し
1) 加齢黄斑変性症とは?
その名の通り、50歳を過ぎた頃から、加齢が原因で起こる目の病気です。55歳以上の 方の有病率(病気を持った人の率)は約1%、男性の方が多く、年齢とともにこの病気になる確率も高くなります。2) どんな病気ですか?
網膜の中心部である黄斑がダメージを受ける病気です。網膜の外層に脈絡膜という組織があります。とても迷惑な話ですが、年齢を重ねるとともに、この脈絡膜から異常な血管(新生血管)が黄斑の下に発生します。この血管が破れて出血したり、血液成分が漏れ出したりして、黄斑が障害をうけます。写真1を見てください。ちょうど黄斑部に出血を起こした患者さんの眼底写真です。
※写真1
3) どんな症状がおこりますか?
黄斑は網膜の中でも視力の98%が集中している大事な場所です。急激に視力が落ちる、 線が歪んで見える、見たいと思う真ん中の部分が見えないといった症状がでます。患者さんは、とても不自由を訴えます。24 治療法はありますか?
私が医学部を卒業した20年前は、治療法がなくあきらめるしかありませんでした。近 年この病気ほどいろいろな治療法が研究され進歩した領域はありません。今、一番新しくそして期待されている治療法は「抗血管新生療法」です。私たちの体には、新生血管を成長させる「血管内皮増殖因子」という物質があります。この働きを抑える薬剤を眼内に注射し、新生血管の増殖を抑える治療法です。
次回は、治療法をもっと詳しく、そして自己チェック、予防のための生活の注意など、「その2」をお届けする予定です。
川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら
2010/10/22 更新
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