多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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181.閑話休題①:目の病気のリスク、生活環境

「日本の眼科」2024年10月号に「眼疾患のリスク因子としての生活環境要因」という記事がありました。面白い内容なので、紹介します。

1)喫煙

喫煙のリスクについては、肺がん、心筋梗塞も相関性があります。ニコチンが身体の細い血管を障害するのです。
目の病気では加齢黄斑変性症、白内障、ドライアイ、緑内障があがります。2022年のWHOの報告でも、白内障、緑内障、加齢黄斑変性症による失明予防策として、禁煙の重要性が示されたそうです。
ドライアイに関しては、統計学的には有意な関連は証明されませんでした。しかし、喫煙は眼表面の酸化ストレス上昇、涙液の不安定化、角膜・結膜の知覚の感受性を低下させる、これらがドライアイを誘発させる可能性ありと考えられています。

2)運動はどうでしょうか

肥満や糖尿病に関しては、適度な運動が推奨されます。目の病気にはどうでしょうか。
ドライアイで見てみましょう。ディスプレイを見る時間が長い、座っている時間が長い人が、よりドライアイの症状が辛いようです。運動はもちろん良いのでしょうが、休憩を取って席を離れる、パソコンから離れるということが改善につながるのかもしれません。
開放隅角緑内障に関しては、有酸素運動が進行を抑制するというエビデンスが蓄積されているそうです。運動はドパミンや神経栄養因子を上昇させ、循環血流量を増加させ、網膜の神経節細胞を保護します。一日5000歩の歩行を行うか、座っている時間を一日2.6時間短くすることで、視野欠損の進行を10%抑制することができるという2019年の海外の報告があります。

3)食事と栄養

目に良い食べ物、サプリメントはありますか?聞かれることがあります。
ビタミンC,Eなどの抗酸化物質は体内の酸化ストレスを軽減する効果が期待されます。
ビタミンCが多く含まれる食品はキウイ、アセロラ、柑橘類、野菜ではブロッコリー
ビタミンEが多く含まれる食品はナッツ類、アボガドです。
加齢黄斑変性症に関しては海外でも日本でも、大規模な疫学調査が行われ、ビタミンC,Eやルテイン、ゼアキサンチンが発症や進行を減少させることが示されました。
ルテイン、ゼアキサンチンとも天然色素で、緑黄色野菜に多く含まれます。

4)睡眠

先日、書店をのぞいたら、筑波大で睡眠を研究している柳沢正史さん監修の「今さら聞けない睡眠の超基本」という本が平積みになっていました。睡眠に関する本、「超」のつく本、多いですね。
目の疾患で睡眠との関連が示唆されているものはドライアイです、一日7~8時間の睡眠時間のグループが最もドライアイの有病率が低いそうです。メカニズムとして睡眠時間が短い=起きている時間が長い=眼表面が外界に晒される時間が長い、副交感神経の機能低下による涙液減少が挙げられます。

5)因果関係と相関関係の違い、極端に走らないという自戒

最近読んだ脳科学に関する本の中に「因果関係として証明されることは難しい、私たちが因果関係と思っているものは、実は相関関係なのだ」という一文を見て、なるほどと思いました。母数を多くして傾向を見ていくと「長生きの人は、こんな食生活をしている」という傾向が見えてきますが、その食生活をすれば長生きができる訳ではありません。
私に関して言えば、サプリメントは無し、食事で気を付けることは、過食をしないこと、ざっと眺めて彩りが良いことぐらいです。睡眠はできる限り7時間を確保するようにしています。早寝早起きです。先述の柳沢正史さんは、「先ずは睡眠時間を確保、残った時間で生活を配分」と言い切っていました。
出来ることから、そして極端に走らないこと。自分にも言い聞かせています。


(2025.3.5更新)


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