180.網膜⑩:網膜色素変性症
網膜色素変性症は遺伝性の病気で、4000人から8000人に1人の頻度です。常染色体劣性遺伝が35%、常染色体優性遺伝が10%、X染色体劣性遺伝が5%です。また家族、親族を調べても同じ病気の人がおらず、遺伝のタイプがわからない孤発性が50%となっています。
残念ですが進行性で、現在のところ治療法はありません。
1)症状は?
夜盲、視野狭窄、視力低下です。
網膜には錐体細胞と杆体細胞が存在します。錐体細胞は色覚を、杆体細胞は明暗を感じ脳に伝えます。
網膜色素変性症では、まず杆体細胞が減少し、暗い所で物が見づらい「夜盲」を自覚するようになります。変化は網膜周辺から中心に向かっていくので、見える範囲が徐々に狭まる「視野狭窄」が起こります。進行とともに、錐体細胞も減少し、視力が低下します。
病気の進行は、ゆるやかなので、発症年齢が遅ければ日常生活を送ることができます。
2)どのようなことに気を付けましょうか
残念ですが、進行性の病気であり、治療法はありません。白内障が進行したら、白内障手術をお勧めします。遮光レンズで眩しさの要因になる短波長光をカットすると、コントラストがはっきりして物が見やすくなります。東海光学の遮光眼鏡をお勧めしています。
また、生活が不自由になった方には、障がい者の申請をお勧めすることもあります。
3)今後の展望
私たちの世代には間に合いませんが、遺伝子治療、人工網膜、視神経保護治療、i-PS細胞など研究が行われています。(2025.2.5更新)