多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

多摩区・ふじえ眼科コラム

多摩区 ふじえ眼科 ホームページはコチラ

174.網膜④:糖尿病網膜症

前回は糖尿病を学びました。今回は、その三大合併症の一つ糖尿病網膜症を取り上げます。
糖尿病を罹患している人の約30-40%、糖尿病網膜症を発症していると思われ、日本の患者数は約300万人になります。初期は、無症状ですので、糖尿病と診断されたら、定期的な眼底検査をおすすめします。

1)糖尿病網膜症はどんな病気?

三大合併症を起こす臓器の網膜、腎臓、神経は毛細血管で栄養や酸素を補給されています。この毛細血管が閉塞して酸素不足におちいります。網膜は酸素を補うため、新生血管という新しい血管を作りますが、この血管がもろく、出血を起こしやすいのです。

2)3段階の病期があります

増殖前網膜症進行状況で3つの病期に分類され、それぞれ経過観察、レーザー治療、硝子体手術の治療の選択肢があります。それぞれの病期でみていきます。

①単純網膜症
網膜症の最初の段階で、小さな点状出血が現れます。この段階では、自覚症状はありません。まだ積極的な治療の必要はなく、定期的(半年から1年)に経過を追っていきます。

②増殖前網膜症
血管の閉塞が進み、虚血(血流が途絶える)になると、それを補うために新生血管が生じます。眼底検査では、上の写真のように、しみ状の出血や軟性白斑という白い綿状のものが認められます。
レーザー治療後これを放置すると視力が低下するので、レーザー治療が必要になります。網膜の虚血部分をレーザーで熱凝固して虚血部分の酸素要求量を減らす処置です。下の写真はレーザー治療をした後のものです。白斑が消えているのがわかります。悪化を止めることができます。

③増殖網膜症
虚血がさらに進み新生血管の増殖が進みますが、この血管はとてももろく破けやすいので突然の大出血を起こし見えなくなることがあります。また増殖膜という膜状の新生物が生じ網膜を引っ張って網膜剥離を起こすこともあります。
この段階では、硝子体手術が必要になります。増殖膜を取り除くとともに、しっかりと網膜にレーザー治療を行います。

3)定期検査の大切さ

増殖前網膜症までは、患者さんは、まず視力が低下したといった自覚症状はありません。この時点で適切な治療を受ければ良好な視力を保つことができます。また、まれではありますが、糖尿病のコントロールが良いのに網膜症が進む方もいます。
自覚症状がなくても網膜症の定期検査を受けていただくようお願いします。


(2024.8.7更新)


コラムトップへ戻る

多摩区 ふじえ眼科 ホームページはコチラ