多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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170.緑内障⑤:緑内障の手術

前回は緑内障治療の点眼薬について書きました。薬による治療はとても進歩しましたが、それでも眼圧を下げることができない患者さん、視野の悪化を止めることができない患者さんがいます。その時は、手術に踏み切ります。
緑内障の手術は、悪化を止める、もしくは遅らせるために、眼圧を下げるための手術なので、視力が良くなることはありません。逆に視力が低下する場合もあります。
手術の術式も点眼薬と同様、進化しています。より低侵襲の手術が開発されてきました。私が経験したことがない、見たことがない手術もあります。昨年の「日本の眼科」という雑誌の8月号が「緑内障治療アップデート」の特集でしたので、ここからの引用で、最新の手術についても、ご紹介します。

1)レーザー手術

①レーザー虹彩切開術
隅角の狭い方に起こる急性緑内障発作の治療、予防に有効です。虹彩の端にレーザーで小さな孔をあけ、房水のバイパスを作ります。

②マイクロパルスレーザー治療
これは私が経験したことのない手術なので、「日本の眼科」からの引用になることをお断りします。マイクロパルス毛様体光凝固術とマイクロパルス繊維柱帯形成術があります。

マイクロパルス毛様体光凝固術
2017年からマイクロパルスを用いたレーザー装置での治療が行われるようになりました。レーザーのon とoffをとても短い時間で制御して、組織への熱の蓄積を防ぐことが可能になり、組織へのダメージを少なくできる手法だそうです。
房水を産生する毛様体をレーザーで凝固し、房水産生を減らして、眼圧を低下させます。

マイクロパルス繊維柱帯形成術
この手法は従来から行われていたのですが、今まで使用していたレーザーよりもより出力を下げて、組織への熱のダメージを減らすことが可能になりました。
房水の排出路である繊維柱帯からの房水の排出を改善する手術です。

2)観血的手術

目にメスを入れる手術です。

①繊維柱帯切開術
繊維柱帯の一部を角膜側に切開して、房水の通り道を作り眼圧を下げます。眼圧下降効果はあまり大きくありませんが、合併症の少ない手術です。

②繊維柱帯切除術
繊維柱帯の一部を切除し、房水の出口を作る手術です。術後、房水は切除された出口を通り、結膜の下に流れ濾過胞(ろかほう)と呼ばれるふくらみを作ります。この房水は結膜の血管から吸収されます。
眼圧下降効果の高い手術ですが、眼圧が下がり過ぎて網膜にしわがより視力が下がる、感染を起こすことがある等、合併症もあり、術後管理が大切です。

以下は私の経験が無いので、再び「日本の眼科」の引用になります。
③チューブシャント手術
繊維柱帯切除術の侵襲を少なくしようと開発されました。眼内に細いチューブを挿入し、そのチューブを通して房水を眼外に出して眼圧を下げます。
2022年にはプリザーフロマイクロシャントという小さなチューブ状のデバイスが承認されました。



(2024.4.10更新)


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