168.緑内障③:緑内障診断のための検査
今回は緑内障を診断し、その後のフォローアップを続けるために必要な検査について話します。引き続き、緑内障ガイドラインに従います。
1)眼圧検査
正常眼圧は10~20mmHgです。21を超えると高眼圧となり注意が必要です。眼圧が高い状態が続くと、視神経繊維がダメージを受け束状に欠損し、その部位に視野欠損が起こります。
緑内障の治療で確立されたものは、眼圧下降しかないので、眼圧の値はとても大切です。眼圧が1mmHg下がると、視野の進行は10%遅らせることができるといわれています。
ただし、眼圧が高くても視神経も視野も正常で緑内障変化のない人がいます。これを「高眼圧症」と呼びます。この場合は、治療はせずに経過を観察することが多いです。
また、正常眼圧緑内障は、眼圧は正常値にありますが視神経がダメージを受け視野も欠けてきます。この場合はさらに眼圧を下げる治療が必要になります。
診断、経過観察に眼圧は大切ですが、一つの目安です。
2)眼底検査
前々回の緑内障①で述べましたが、視神経乳頭陥凹の拡大と視神経繊維束欠損が診断の決めてになります。写真はコラム166でご覧ください。
今回はもう一つ、視神経乳頭出血を紹介します。もともと視神経乳頭の一部に弱いところがあり、時々そこに出血が現れます。これは正常眼圧緑内障のサインと考えられています。ただ、この出血は時間がたつと消えてしまうことが多いので、たまたま会社の健診や眼科受診で見つからないとわかりませんし、患者さんにも自覚症状はありません。
3)視野検査
緑内障が厄介なのは視野(見える範囲)が欠けてきて、それが回復しないことです。当院で行っているハンフリー視野計で説明します。患者さんに半円のドームの真ん中の指標を見つめてもらいます。半円のドームの中に指標(光)がランダムに出て、見えたらブザーを押してもらい調べます。
上が右目の視野です。私たちは気付かず過ごしていますが、やや耳側に一か所見えない場所があります。これを自然な盲点と呼び、異常ではありません。右目は盲点以外には欠けがなく正常です。下が左目の視野で内側(鼻側)に欠けがあります。視神経乳頭の陥凹拡大と一致していて、治療が必要です。この程度の欠けでは、患者さんに自覚症状はありませんが、視野計で調べると異常が見つかります。逆に患者さんが視野の欠損を自覚するようになると、症状はかなり進行しています。
今回は駆け足で、検査をお話しました。
次回は点眼薬での治療の予定です。
(2024.2.7更新)