164.角膜⑤:円錐角膜
円錐角膜は思春期に発症する、角膜が円錐形に変形、突出する病気です。写真は同じ人の右目と左目の写真ですが、右目の角膜が前方に突出しています。原因は不明ですが、アトピー性皮膚炎との関連性は示唆されています。
1) 症状
日本における患者数は約1万人に1人、10代から20代に発症し、男性に多いです。
進行性で、強い乱視を引き起こします。また角膜が菲薄化し「急性角膜水腫」という浮腫を起こし急激に視力が低下することがあります。
乱視が進むと、眼鏡での矯正は難しくなり、ハードコンタクトレンズでの視力矯正となります。
2) 治療
①ハードコンタクトレンズハードコンタクトレンズはレンズのカーブを自分の角膜のカーブに代用できるので視力矯正に有効です。ただ、円錐角膜が進行すると、レンズがはずれやすくなり、またレンズが当たる角膜頂点に傷がついたりします。この場合は、円錐角膜専用の特殊なコンタクトレンズを使用します。
②角膜クロスリンキング法
角膜にリボフラビン(ビタミンB2)を点眼しながら365nmの波長の紫外線を照射すると、角膜の実質コラーゲンが架橋(クロスリンキング)を起こします。これにより角膜が現在の形状を維持し、進行を抑えます。進行抑制の治療です。
③角膜内リング
もともとは近視矯正の手術で用いられていたものですが、円錐角膜の進行予防にも用いられるようになりました。
④角膜移植
角膜の中央が薄くなって孔が開きそうになった場合は角膜移植の適応になります。
現在は海外のアイバンクからの輸入角膜をつかうことが多く、予定手術でおこなうことも可能となりました。
ただ、人の角膜をもらうので拒絶反応が起こる場合があり、その場合はステロイド点眼や免疫抑制剤の内服が必要になります。
(2023.10.11更新)