159.角膜②:とても敏感な器官です
角膜には三叉神経という知覚神経が走っていて、とても痛みに敏感です。また、角膜中央に行くほど、神経が敏感で、傷ができると痛みが強く、目を開けていられないほどになります。
傷の修復は自分の治癒力で回復を待つほかないのですが、痛みを和らげるために、角膜保護剤の目薬や、保護用のコンタクトレンズを使うこともあります。
1) 表在性角膜炎
角膜に小さい傷がついた状態です。角膜を染色する色素をつけて青い光を当てて観察すると写真のように、黄色い蛍光色を発して見えます。
原因はドライアイ、異物が入ったための傷が多いです。治療はどちらも角膜保護剤を使い自己治癒を待っていただきます。
ドライアイで多いのは蒸発亢進型で、目の表面から涙が逃げていきやすいタイプです。治療は角膜の保湿のためのヒアルロン酸ナトリウムの点眼、難治の場合はジクアス、ムコスタ点眼を使います。涙液の表層には油層があり、これが乾燥を防いでくれます。この油は瞼のマイボーム腺から分泌されているので、洗顔時にまつ毛の根本を優しく指の腹で2-3往復マッサージをしてもらうのも有効です。
2) 角膜びらん
さらに大きく深い傷がついた状態です。目に何かぶつかった、人の指が入った等の原因で起こることが多いです。とても痛いので目を開けるのも一苦労ですが、やはり自然治癒を待っていただくしかありません。感染を起こさないよう抗菌薬の点眼を使い、表在性角膜炎と同様にヒアルロン酸ナトリウム、ジクアス、ムコスタなどの点眼を使います。痛みが強い場合は、鎮痛薬を処方し、また眼軟膏で傷をシールすることもあります。
3) 再発性角膜びらん
段ボールの角が当たった、お子さんの爪が入った等、深い角膜びらんを起こした後、治癒しても角膜上皮と角膜実質の接続が弱くなり、突然、同じ場所、同じ形状で角膜びらんを起こす、これを再発性角膜びらんといいます。起床時、目を開けた瞬間に起こすことがほとんどです。この治療も角膜びらんと同じですが、頻回に再発を起こす方には、私はあらかじめヒアルロン酸ナトリウムやジクアスなど点眼を予備でお渡ししています。(2023.5.6更新)