多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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97.緑内障手術

緑内障のシリーズ、最終回は手術についてです。点眼による治療が進歩しましたが、薬だけでは眼圧が下がらず、手術が必要になる患者さんがいます。新しい手術法である「チューブシャント手術」についてもお話しします。

1) レーザー手術

①レーザー虹彩切開術
もともと房水の排出路(隅角)の狭い狭隅角の患者さんに行います。虹彩の端にレーザーで小さく孔をあけ、房水のバイパスを作ります。急性緑内障の治療、予防に有効です。

②レーザー繊維柱帯形成術
レーザーを繊維柱帯に照射し、房水の排出を改善する手術です。

③レーザー隅角形成術
レーザーの熱で虹彩の周辺部を凝固、収縮させ、房水の排出を改善します。

2) 観血的手術

目にメスを入れる手術です。できれば点眼薬の治療で眼圧を下げたいのですが、薬物治療だけでは眼圧が下がらず、視野の欠損が進行する患者さんがいます。2012年のコラムにも書きましたが、繊維柱帯切開術(トラベクロトミー)、繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)、チューブシャント手術についてお話しします。
①繊維柱帯切開術
繊維柱帯の一部を角膜側に切開して、房水の通り道を作ります。眼圧の低下はあまり大きくはありませんが、合併症の少ない手術です。

②繊維柱帯切除術
繊維柱帯の一部を切除し、房水の出口を別に作る手術です。術後、房水は繊維柱帯の切除された出口を通り、結膜の下に流れ濾過胞(ろかほう)と呼ばれる膨らみを作ります。ここに流れた房水は結膜の血管から吸収されます。
眼圧がかなり下がり、非常に有効な手術ですが、視力低下や感染といった合併症もあり、術後管理が大切です。


さらに、この5年ほどで注目の手術が
③チューブシャント手術
チューブを眼内に挿入して、眼外に房水を排出する手術法です。5年前に日本でも承認され、行われるようになりました。
プレートを用いる手術と、プレートを用いずミニチューブを挿入する手術、大きく2つに分けられます。
プレートを用いるバルベルト法、アメード法、ミニチューブ型のエクスプレス法の3つを紹介します。
1)バルベルト緑内障インプラント法
シリコーン製のチューブと、それに接続したシリコーン製のプレートを用います。チューブは前房(角膜と水晶体の間)に挿入する場合と硝子体内に挿入する場合があります。プレートは目を動かす筋肉である外眼筋の下に入れ、結膜で覆います。チューブから房水をプレートに逃がし眼圧を下げるやり方です。

2)アメード緑内障バルブ
アメード緑内障バルブは眼内にチューブを挿入する原理はバルベルト型と同じですが、圧力を調整する弁を持っています。眼圧が8-12mmHgで開く弁を持つため、術後、眼圧が下がりすぎる低眼圧が起こりにくい利点があります。

3)エクスプレス法
エクスプレス法はステンレス製のチューブを前房内に挿入し、房水を結膜下に導き濾過胞を形成させます。チューブを用いた繊維柱帯切開術といえるでしょう。

いずれも、この5年程ですが、行われる施設は増えています。新しい治療法として期待が持たれます。


2018/01/06更新


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