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102.ぶどう膜炎 その2 原田病・サルコイドーシス・ベーチェット病

前回のコラムでぶどう膜炎の約70%が原因がわかり、約30%が原因不明と話しました。今回は三大ぶどう膜炎の、原田病、サルコイドーシス、べーチェット病を紹介します。
7月号は「はやり目(アデノウイルス結膜炎)」について書く予定ですので、急性前部ぶどう膜炎と強膜炎は8月に紹介します。

1) 原田病

 フォークト・小柳・原田病とも呼ばれ、この病気を研究、発表した三人の眼科医の名前がついています。
私たちのからだの中には、メラノサイトという細胞があり、メラニンを作ります。メラニンは太陽からの紫外線を吸収し、細胞のダメージを防ぎます。この自分のメラノサイトを攻撃する自己免疫疾患が原田病です。原因は不明な点が多いのですが、患者さんの血液を調べると特殊な遺伝子が見つかるので、遺伝は関係すると考えられます。
ぶどう膜はメラノサイトの豊富な部位で、虹彩炎、網膜の浮腫を起こし、患者さんは視力低下を自覚して来院します。目以外にもメラノサイトの多い部位に病変を起こし、難聴、脱毛、皮膚や髪の毛が白くなるという症状を伴うこともあります。
原田の治療にはステロイドがとても良く効きます。入院してステロイドの点滴、その後、内服に切り替え少しずつ減量していきますが、その経過で再発を起こすことがあるので、慎重に減量していきます。

2) サルコイドーシス

サルコイドーシスは全身のいろいろな臓器に肉芽腫をいう結節ができる病気です。これも発症原因ははっきりとはつかめていませんが、何か外的要因でTh1細胞という免疫に関与する細胞が過敏になり起こるようです。
リンパ節、肺、皮膚、目、血管、心臓、筋肉、いろいろな臓器に肉芽腫ができます。
眼では虹彩炎、網膜の血管の炎症を起こします。患者さんは強いかすみ感で受診します。
治療はステロイドが第一選択薬、治りにくいものには免疫抑制剤も使用します。
サルコイドーシスは合併症として、眼圧上昇を伴い、緑内障を起こすことが多いので、眼圧下降薬による眼圧の管理がとても大切です。

3) ベーチェット病

三大症状と呼ばれるものが、口腔内の再発性潰瘍(アフタ)、陰部の潰瘍、眼症状(虹彩炎、網膜の出血)です。やはりこの病気も発症原因は不明ですが、遺伝的な要因があります。ヒト白血球抗原のHLA-B51を持つ患者さんの比率が高いからです。ただしB51をもつ人が全員発症するわけではありません。
症状は虹彩炎、、網膜の血管炎、網膜出血です。男性に多く(70%)、特に若い男性に重症化が多いです。
再発を繰り返すことが多く、重症化する患者さんも多く、難しい病気でしたが、免疫抑制剤、また最近ではインフリキシマブという生物学的製剤が効果が高く、重症化する患者さんが少なくなりました。

自己免疫疾患はリウマチなど、診断がついてもやはりその発症原因は不明なものが多くとても治療が難しい病気です。それでも、新薬が出て重症化を防げるようになってきました。これからも良い薬が開発されることを期待しています。


(2018/06/06更新 )


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