多摩区・ふじえ眼科コラム

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80.はやり目

  人から人に感染する結膜炎を「はやり目」と言います。原因はアデノウイルスで「流行性角結膜炎」、またプールで感染することが多いため「プール熱(咽頭結膜熱)」とよばれる結膜炎があります。今年は5月頃より患者さんが増え始め、私が今まで経験したことがないほど患者さんが多い、流行の年です。家族内の感染も多いので、今月はこの話題を取り上げます。

1) どうして感染するの?

 アデノウイルスに感染して発症すると結膜の細胞でウイルスが増殖し、涙のなかにウイルスが排出されます。感染した人が気づかずに目にふれ、ドアノブや電車のつり革に触ります。すると、そこにウイルスが付着します。次の人が知らずにドアノブやつり革に触り、その手で目をこすると、もうそこで感染が成立します。

2) どんな症状がでますか?

 アデノウイルスには約1週間の潜伏期があり、その間は症状がありません。潜伏期を過ぎると、結膜の充血、めやに、眩しさ、ゴロゴロ感、痛み、まぶたの腫れといった多彩な症状がでます。また、プール熱の場合は、発熱や喉の腫れを伴います。症状が強いと痛みで目を開けることができない患者さんもいます。

3)どのように診断しますか?

  まず、かなり強い充血がでるので、そこではやり目を疑います。また、家族に同じ症状の人がいるという話も重要なヒントです。

 アデノチェック確実に診断するには、「アデノチェック」という迅速診断キットを使います。点眼麻酔をした後、結膜を綿棒でこすり細胞を取ります。それを展開液に浸しキットに垂らして約10分待つと、写真のようにウイルス陽性の人は赤い線が2本でます。陰性なら1本です。
 ただし、この検査には偽陰性という欠点があります。約20%の人がウイルスがいても検査をすりぬけてしまいます。この夏、当院でも間違いなく偽陰性の方が2人いました。家族のなかで最初に来た患者さんが陰性、後から来たご家族は陽性でしたので最初の患者さんが偽陰性であることがわかりました。
 逆に、この検査にはウイルスがいないのに陽性にでてしまう偽陽性はありません。検査で陽性なら、間違いなくアデノウイルスによるはやり目と診断できます。

4)治療法は?

 残念ながら、現在のところ有効な治療薬はありません。他の感染症を合併しないために抗生物質の目薬と、炎症を抑えるためにステロイドの目薬を使います。約1~2週間で自然治癒します。

5)何よりも予防が大切です

 はやり目は、家族内や学校、幼稚園・保育園で周囲の人に感染するので、何よりも予防が大切です。アデノテストが陽性なら、インフルエンザと同じように充血がなくなるまでは、学校・幼稚園・保育園はお休みをしてもらいます。
 充血がある間は、涙にウイルスが排出されますので、顔を拭くタオルは別々にしてください。手を良く洗いましょう。目を拭いたティシュは1つのビニール袋にまとめて捨てます。
 偽陰性の場合があるので、私は、アデノテストが陰性でも、充血がひくまでは、各自タオルは別にしてもらうよう指導しています。

 最初の感染経路でお話ししたように、どこから感染するかわかりません。きちんと手洗いをする、目がかゆくなったら手でこすらず、ティッシュを使いましょう。


2016/8/3更新

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